混ざり合って白になる

好きなものを好きだと叫ぶ場所

31文字のメッセージ

 

このたび、以下のWEB歌集企画にアイドル短歌を寄稿させていただきました。発行おめでとうございます!

 

短歌を詠むのは中学生くらいの頃に国語の授業で無理やり(笑)やらされたくらいで、ほぼ初めて。ましてやアイドル短歌など全くの初めまして……しかも、普段の私のツイートやブログを知っている人はご存知のことかと思われますが、私が書く文章は基本的にとても長いです。簡潔にわかりやすく書くのが苦手で、細かなところまで全て詳らかに説明したくなってしまう性分なんですよね。そんな私がたったの31文字に書きたいことを詰めるなんて、とてもチャレンジングなことなのでは?とか、少ない文字数だからこそ生まれる余白にロマンがあるんだろうな〜とか。そんなことを思いながら興味本位で挑戦してみた…というのが今回参加に至った経緯です。

 

 

今回、私が寄稿したのは以下の2首になります。

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では、そもそもこれらをどういった経緯で詠んだのか。やはり微細まで説明したくなってしまう性分が勝ってしまったので、自己満上等で説明させてもらいます。(余白を残す話、どこいった……?)

 

今回のテーマは「音」。

これをみた瞬間、NEWS、特に増田さんに関連することで何か書けそうな気がする!と思いました。なぜなら、彼らの"音"を通して幾度となく心を動かされたから。しかも、ちょうど短歌WEB歌集公開の日が増田さんの誕生日に近いときた。それならば"増田貴久"と"音"に関する私の心情を詠ってみようじゃないかと。こうして出発点を定め、初めてのアイドル短歌なるものを詠んでみたわけです。

 

 

まず一首目。

十六夜に 森閑と迫る水先と 月下の舞に 心音が鳴る

これは、NEWSをよく知る人にとっては、アレのことか…と思い当たる節があるかもしれない。結構わかりやすい歌だと思う。そう、これはWORLDISTAのI・ZA・NA・I・ZU・KIの演出について。元々大好きな曲であったのに加え、ここ最近で特に心の底から震えた演出、パフォーマンスの一つ。そんな情景を歌ってみたくて。

以下、ライブ参戦後に書いた感想ブログより引用。

センステ手前の花道に窪みみたいなものが設置されていて、いつのまにかそこに水が張られている。冒頭の増田さんはその水たまりに一人立ち、ソロパートを歌い上げ、歌い終わりに足元の水を蹴り上げる。水しぶきは綺麗な弧を描いて飛び散り、それを合図にメンステの上から雨のように水が降ってくる。雨の後ろにはモニターに映る大きな月が輝いていて………

 

冒頭のパートが終わり、各メンバーのパートが歌い継がれる間にも、メンステの方から花道へ水が流れてくる。じわじわと水かさを増していくステージ、、、音もなく近づいてくる水先が心をざわつかせる、、

幻想的で、本当に美しかったんだよ。

この情景を31音に込めてみようと挑戦したのが、一首目の歌になるわけです。

静かに音もなく、そろそろと近づいてくる水先。そして夜空には満月の次の日、十六夜(いざよい)にゆっくりと現れた月。その月の下で舞い踊るあなたを見て、私の心音だけが鳴っている。

そんな意味を込めました。

十六夜(いざよい)」は、I・ZA・NA・I・ZU・KI(いざない月)にかけて。「森閑(しんかん)」とは、物音一つせず、静まりかえっているさま。初めは「音もなく迫る水先と」という表現を考えていたものの、後の「心音」というワードにも"音"という漢字が入っており、重複させるとテンポが良くないな〜と思い、意識的に異なるワードを選びました。I・ZA・NA・I・ZU・KIの曲が始まる前のモニター映像で、夜の森で湖を覗き込む子ドラゴン、みたいなシーンが流れていたのもあり、"森"という文字が入ることで意味合いが増すのではないかと考えたのも一つの理由です。

続けて「月下の舞」は上述したように増田さんのこと。歌い出しGet away〜♪を歌った後、1人ソロで舞うパートがあってからAメロが始まるのだが、その舞いがあまりにも美しくて。歓声を出すどころか、ただただ目を奪われて、心臓の鼓動だけが主張している……と思うくらい美しかったのです。最後の「心音が鳴る」は、前半の「森閑と」という音がなく静まりかえっている様子との対比が映えるといいな、という意図も込めた言葉選びをしました。

「音」「アイドル」と聞くとやはり"歌声"や"歓声"といったイメージがまず第一に浮かぶ人が多いんじゃないだろうか。でも別に"無音"について詠んでみても良いんじゃないか?音があるからこそ無音という概念があるわけだし…それとアイドルが発する音ではなくて、彼らによって魅せられたこちら側の音もまた"アイドルと音"なのではないか。そんなことも考えながら詠んでみました。

 

それともう一点だけ補足。このI・ZA・NA・I・ZU・KI自体はNEWS全員で歌唱した曲目なので、最初はNEWSの枠として寄稿しようかと思っていたんです。が、この曲目の情景・演出の案は主に増田さんのアイデアであったこと、そして私が心奪われた"月下の舞"は増田さんのパフォーマンスであったこと。以上を踏まえて、敢えて増田貴久についての短歌として提出しました。

 

 

さて、お次は二首目について。

波に包まれ戯れる 柔風が運ぶのは私のたからもの

これはもう純粋に、増田さんの歌声について歌ったものになります。

この歌に込めた意味合いとしては、ざっと以下のような内容です。

音に包まれ、そしてその音と戯れながら歌うあなたの歌声が私の元に届いたとき、それは私にとって大切な"たからもの"となる。

まず「波に包まれ戯れる」についてですが、以前増田さんは自身のラジオにてこんなことを言っていて。

イヤモニを両耳につけている時と片耳だけの時では聴こえ方は違うのか?というリスナーの質問に対して、片耳にした方が外の反響音や音の広がりも聴きながら歌うことができ、より"音に包まれている"感覚になれて好きだと答えていました。また別の回では声量と反響のバランスのチャンネルを合わせるために、本番前などはよく壁に向かって歌う発声練習をしているとも言っていて、これもまた音に包まれる感覚を持ちながら歌う人だからこそだなあと思ったり。そして、自分のパートはもちろん、自身の歌割りでないところでも音にのり、身体を揺らしながら音楽と共に居る姿が、まるで音と戯れているようで。

ただ、単純に"音"という文字を入れてしまうのでは、なんとも説明的な、直説法に近い表現になりセンスがないな〜と思い…"音"を「波」という文字に変換しました。これは、音→音波→波…という連想で選んだ単語です。人間が音を感知できるのは、音波によって空気が振動し、それが耳の中の器官に伝達されるからであることから、それを踏まえて"波"に言い換えました。

このように、音と触れ合いながら伸び伸びと歌う増田さんの姿を綴ったのが前半部分になります。

 

さて、続いて後半部分について。

まず「柔風」ですが、これは私が増田さんの歌声に抱くイメージです。

もっと言うと、SPIRITでの増田さんの歌声に対するイメージ、かな。

これもまた以前にアップしたブログから引用したものですが、私がSPIRITという楽曲に抱くイメージは以下のようなものです。

歌い出しはコヤシゲのハモりから始まり、小山パート、シゲパートを経てからの、手越パート。青空を突き抜けるような歌声。コヤシゲが歌って作り上げた大地から、勢いよく飛び立った鳥のようなイメージが浮かんだ。

そして、手越パートの合間に柔らかく挟まれる増田パート。手越くんの歌声が青空に羽ばたく鳥ならば、増田さんの歌声はその周りを吹き抜ける柔らかな風かもしれない。

時に激流や落雷のような激しさを帯びることもあるけれど、エアリーで温かみのある増田さんの歌声は柔らかい風や雲のような印象が強くて。今回の短歌では「柔風(やわかぜ)」というワードを用いることにしました。またこれは、前半部分で「波」という単語が登場したことによって、柔風というワードと合わせて風景描写の様相が出せるかな、という意図もありました。私の中では波と戯れながら吹き抜ける柔らかい風が海を越えていく…みたいな風景が浮かんでいます。

そして、その柔風が運んでくるのは「私のたからもの」。これは、増田さんの歌声が私の元に届いた時、そこに乗せた想いや、それを受けて生まれる感動、感情が私にとってのかけがえのない宝物であるなあと思ったことから。ただ音を追うだけでなく、ただ歌詞を連ねるだけでなく、ただリズムに乗るだけでなく。想いや熱を込めて、それを歌に乗せて届けることが増田さんにとっての"歌うこと"なんだろうなあと感じる瞬間が今まで何度もあって、そうやって届けてくれた歌を受け止めて生まれる心の動きが大切な宝物になる。NEWS、そして増田さんの歌からしか得られない感動が、確かにある。そういった気持ちから後半部分を詠みました。ちなみに"宝物"をひらがな表記にしたのは、「柔風」を受けて柔らかな印象にしたかったからです。

 

 

 

…………と、こんなところでしょうか。

なんだか一から説明してしまうのは蛇足というか、ナンセンスな気もするけれど。まぁいっか。

やってみた感想としては、一言で言うなれば難しいけど楽しかった!です。

やっぱり31音って少なっ!!!!って思ったけれど、伝えたいワードをどう言い換えてみるか、いかにして"心情"を言葉で"情景"に昇華するか、使いたい単語が決まってもリズム感とのバランスが難しい…など、奥が深そうな創作行為で興味をそそられました。あまりにも初心者すぎて右も左も分からず、とりあえず"短歌っぽいもの"を生成してしまった気がするけれど…面白かったのでまた時間を見つけて参加してみたいな〜とも思ってます。

 

では最後に。

たまたま企画者さんによる歌集公開の日が増田さんの誕生日の翌日ということあり、今回の短歌とこのブログをもって増田さんの誕生日祝いとしたいと思います。増田さんへの想いだけはたっくさん詰めたつもり!

増田さん、お誕生日おめでとうございます!

35歳の一年も輝いていますように!

 

あなたのファンより